ヒッコリーの物語は、素晴らしいゴルフコースへと案内してくれる パンミュア ゴルフコース

ヒッコリーの物語は、素晴らしいゴルフコースへと案内してくれる

パンミュア ゴルフコース

記事:ギャレス・スコット

アンビアンス(雰囲気・ムード)

これはアンドリュー・クリレアがパンミュアについて選んだ言葉である。「パンミュアの何が特別なのか?」という質問に、パンミュアのゴルフディレクターのクリレアは、曖昧で移ろいゆく印象ではなく、実際そこにいるようなとてもリアルな感じへと導いてくれた。

『例えば、クラブハウスは最高ですね。スコットランドでは一番じゃないかな。』

ロイヤルカルカッタのメイデンパビリオンをモデルにしたようで、パンミュアのクラブハウスを目にすれば、その主張が正しいことを語っている。 実際に急勾配の屋根以外にも、浅浮き彫りの装飾と時計塔の上にある逆さを向いたプリンボールのようなものは、イギリス領だったインド帝国のピスヘルメットにとてもよく似ている。この建物はインドの感化を受けていることをほとんど示していないが、雰囲気はどうだろう?確実に感じることができる。ブナの鏡板や、カーブしたオークの暖炉、豪華な絨毯張り、記念品、壁に掛けられた大尉たちの写真は1845年のクラブハウス設立までさかのぼる。

イタリアの詩人ダンテの神曲は聖木曜日から始まるが、彼がインフェルノ(地獄篇)を書き始めた時にパンミュアの18ホールの事を考えていたとは思えない。しかしトポグラフィーに関しては匹敵するものがある。詩人ウェルギリウスがダンテの地獄の案内人に対し、アンドリュー・クリレアもパンミュアの案内人となってくれるだろう。もし丁寧にお願いすればだが。

地獄への入り口は、パンミュアの最初の2ホールと同じく、信じられないほど真っすぐなのだが、3番のドッグレッグで真の旅が始まることに気が付くだろう。3番ホールを終えると、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の代わりに、「4番ホールへ」と書かれているかもしれないが、パンミュアの有名な12のインフェルノへ迷い込む前に、いざとなれば希望を捨ててしまうことも選択肢である。

かつて不毛の地だと言われた場所は、後に、4番から15番ホールになり、J.リンジー ヘンダーソン大佐は、『多数の丘と深い峡谷、その底は沼地となっており野生のベントグラス、ハリエニシダ、トウシンソウに覆われたその場所は、最も望みのないように見える。』と描写した。地獄像は、ダンテの第一印象通りで、イタリアの作家がリンボと欲望から詐欺と裏切りに至るまで、9つの圏から脱出しようとしていたのに対し、パンミュアのゴルファーは12ホールを生き残らなければいけない。そして騙されてはいけない。恐るべき貪欲なその性質は、パンチボール、砂丘、そして信じられない事にラッキーダッディーなどの偽名で呼ばれている。

実際、最も過酷なホールは、アンドリュー・クリレアのシグニチャーホールで、非常にシンプルにホーガンと呼ばれている。ホーガンは、グリーンへの疑いのないショットを飲み込むため、特に計算ずくなグリーン横のバンカーを作るべきだと提案した。こうして、しっかり跡を残したホーガンは、1953年カーヌスティオープンで優勝し、その後彼を二度と見る事はなかった。

地球の中心を旅したウェルギリウスとダンテは、ついに地獄から脱出し、とても良い場所へと導かれる。同様に、16番ホールからの見通しは、遠くに見えるクラブハウスの出迎えで歓迎されているかのようだ。だがパンミュアではこれまで通り注意しなければいけない。見た目は欺瞞的で、18番ホールでスコアをビリビリに引き裂いたゴルファーは多い。

無名の建築家はかつて不毛の地と言われた場所をスコットランドの最も魅力的な12ホールへと変えた。

歴史、伝統、古いインドとダンテのインフェルノ、全てが1つに丸め込まれた。想像しがたい体験は、同じだけ忘れがたい体験だ。アンドリュー・クリレアは正しかった。

それは、アンビアンスと呼ばれる。